ぬかるみをよけてあるくや紅椿 季語=紅椿(春)。句集『草の丈』の「芝のころ(その一)」(昭和九年六月~一七年)所収。 この句も、妻の自死が心を澱ませている時期の作かとおもわれる。まさしく泥濘の道を歩いていて、ふと気づくと足もとに紅椿の花がいくつか落ちていた。華やかとも無惨とも決めかねている、万太郎の心持ちそのまま。
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by tsukinami_819
| 2024-03-19 06:43
| 百字鑑賞
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参加している地区市民センター「草の香句会」は、小坂文之・佐紀子夫妻(ともに「杉」同人)が、2人指導体制で運営してこられました。
その夫人が昨年暮れに亡くなってしまわれ、昨日、アクリエ姫路という市の文化コンベンションセンターの1室で「偲ぶ会」がありました。他の複数の句会でも指導されていたため、総勢46名の参加。 次の画像は、亡き先生の俳句を鑑賞するべく、配布したA4判 1枚ものの資料です。JPEGファイルのままで、見えにくいとおもいますが。 ◯ そして今日。 「草の香」月例句会。昨日の今日とて、さすがに欠席者多し。 花籃(はなかご)をはこべば蝶の蹤(つ)き来たり 六四三 #
by tsukinami_819
| 2024-03-18 18:43
| 春
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いてどけのなほとけかねてゐるところ 季語=凍解(春)。句集『久保田万太郎句集』所収、句集『草の丈』の「芝のころ(その一)」(昭和九年六月~一七年)所収。昭和一一―一三年作。 前書の「妻をうしなへる人に」は他人事のようで、どういう意図で書いたものか。芝居のト書きのつもりか、同じように妻を亡くした人への励ましの言葉か。ひらかな表記と中七に、整理のつかない心情が表れている。
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by tsukinami_819
| 2024-03-18 06:43
| 百字鑑賞
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ふッつりと切つたる緣や石蕗の花 季語=石蕗の花(冬)。句集『ゆきげがは』所収、句集『草の丈』の「芝のころ(その一)」(昭和九年六月~一七年)所収。昭和一〇年作。 前書に「妻の初七日、妻の姉より申出あり、受諾」とある。最初の妻の京が結婚から十五年後に亡くなった。家庭を顧みない伴侶に苦しめられた果ての、悲しい自裁か。彼女はかつて万太郎が恋した芸者の妹だった。
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by tsukinami_819
| 2024-03-17 06:43
| 百字鑑賞
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みえてゐて瀧のきこえず秋の暮 季語=秋の暮(秋)、滝(夏)。句集『わかれじも』所収、句集『草の丈』の「芝のころ(その一)」(昭和九年六月~一七年)所収。昭和九年作。 前書「箱根にて」とある。遠く離れて滝音は聞こえず、あたりに霊の気配を感じた。昔の天下の険へ、避暑をかねて滝を見に行く人は多い。たとえば飛龍の滝などは遊歩道が整備され、紅葉の頃ハイキングに適している。
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by tsukinami_819
| 2024-03-16 06:43
| 百字鑑賞
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