今月初め、句会の兼題(あらかじめ示された季題)は「鮎」でした。
鮎好きと思はれて又鮎届く 六四三 実をいうと、あまり魚が好きではありません。なにより小骨をとって食べるのが、面倒なのです。でも、世の中には釣人がたくさんおられ、夏になれば当然のごとく清流に腰まで浸かり、鮎を釣って来られます。そうして、普段こんな人付き合いの悪い人間のところまで、鮎を届けてくださいます。おそらく、鮎好きの一人としてリストアップしてくださっているのでしょう。実は鮎を食べるのが好きなのはわが愚息のほう。彼が成人して家を出ているため、あまりたくさん我が家にお持ちくださっても困るのです。 そんな他愛ない句意なのですが、この句を特選として採ってくださった方の句評を聞いて、恥ずかしくなってしまいました。亡くなったご主人が鮎好きで、最期の病床にあったとき、「もうすぐ鮎の季節だね」と話しておられたそうです。この話を聞いた途端、思わず涙ぐみそうになりました。俳句は作者のものではなく、読み手のものといいますが、まさにそうなのでしょうね。 おしまいの句、作者名を「としこ」とお読みします。『馬酔木』『鶴』、戦後の『女性俳句』を経て、『万雷』主宰。この句は晩年のもの。なお、「落ち鮎」「下り鮎」は秋の季語に変わります。 鮎落ちて美しき世は終りけり 殿村菟絲子
by tsukinami_819
| 2013-06-18 10:25
| 夏
|
Trackback
|
Comments(0)
|
カテゴリ
著書、寄稿など
記事ランキング
外部リンク
フォロー中のブログ
always over ... ふらんす堂編集日記 By... 絵手紙 with 都々逸 見て見て俳句 草深昌子のページ シェーンの散歩道 花の自由旋律 日々のしをり 俳句&写真ブログ 元気ばばの青春日記 気持... ゆきおのフォト俳句 青山一樹 水彩画のひととき ブログジャンル
最新の記事
最新のコメント
以前の記事
検索
|
ファン申請 |
||